ゴルフ産業需要最新動向と将来予測

<利用税からみたコース利用者数2016年速報値>
 NGK発表の2016年利用税から見たコース利用者数によれば 2012年以降水平を維持してきた全国利用者数が2016年:▲1.9%の減少となりました。これは「熊本地震の影響と天候不順」という解釈で看過するのが これまでのゴルフ産業界通例でした。しかし課税区分別に利用者数推移をみれば 「これは異変の前兆」と受け止めるべきと当研究所は考えています。

 平成7年~平成26年間のゴルフ対象人口、参加人口、利用者(入場者数)の推移を下グラフにしました。
この期間に コース入場者者▲9.1% 練習場利用者数▲24.2%減少しましたが ゴルフ対象人口は▲1.9%しか減少していません。これまでの需要減少は人口減少が原因ではありません。

<ゴルフ場入場者は何故ゴルフ練習場ほど減少しないのか> 
 先ほど平成7年(1999年)から平成26年(2014年)間に、ゴルフ対象人口が▲1.9%しか減少していないのにゴルフ練習場利用者数は▲24.2%もの減少であると説明しました。対照的にゴルフコース人口は東日本大震災から回復した2012年以降前年並み・水平状態を維持しています。このことがゴルフ産業界の人口減少によるゴルフ需要減少にたいする危機感・問題意識を鈍化させています。


<コース入場者数前年並み維持は非課税入場者の激増>
 コース入場者数データはNGKによる「ゴルフ場利用税からみた利用者数」なので非課税利用者(70歳以上)と非課税利用者(70歳未満)と課税区分別入場者数が判明しています。2010年~2016年(速報)間の2010年を100%とする課税区分別入場者数推移を下グラフとしました。
 ●非課税入場者数は2015年まで激増した。
 ●それに対して課税入場者減少はは当研究所による2015年問題長期予測に一致している。
 ●2015年問題長期予測は地域別・年代別将来人口予測に基づき計算された。
 ●課税入場者の減少はゴルフ対象人口減少に一致している。
 ●非課税入場者の増加は2016年鈍化した。
 ●結果 全体入場者数は5年ぶりに▲1.9%となった。
 ●大人口世代である団塊の世代は2016年では未だ課税世代であり、2017年以降非課税となる。そのため非課税入場    者の増加はまだ継続するが、大人口世代が去った課税入場者減少が激化する。
と考えなければなりません。

<ゴルフ対象人口の将来予測>
 国立・社会保障人口問題研究所は国勢調査結果に基づき全国地域別・年代別に将来人口を今世紀末まで予測しています。そこから10歳~79歳をゴルフ対象人口として抽出し、下グラフとしました。将来人口予測は正確なものです。今後 ゴルフ対象人口一貫して減少を続けることを覚悟する必要があります。

<これまでのゴルフ産業需要推移>

<世代別ゴルフ参加率推移>
 1996年、2001年、2006年、2011年男性世代別ゴルフ参加率を下グラフにしました。1996年は25歳~39歳の参加率が30%を超えていました。それが2011年では15%以下に半減しています。この 若年世代のゴルフ熱低下 がこれまでの需要減少の主因です。
 

                         <2017年以降の予測>
  2017年以降 ゴルフ場入場者数、ゴルフ練習場入場者数ともに対象人口減少に比例して長期減少する。

<ゴルフ対象人口減少には大きな地域差がある>
 2015年を100%とする 2020年・2025年都道府県別ゴルフ対人口減少率を下地図にしました。都道府県により減少率に無視できない差があります。人口減少による需要減に対する危機感・対策も地域状況に応じたスピード感が必要です。結論としては各ゴルフ場、練習場商圏の人口減少率に即した対策が不可欠です

 

<秋田県市町村別ゴルフ対象人口減少率 2010年を100%とする推移>

 

<ゴルフ練習場動向はゴルフ産業全体の先行指標 ”新規来場顧客が急減している”>
 最近幾つかのゴルフ練習場来場者データを分析させていただきました。そこで気になるのは「新規来場顧客数減少」堅調であることです。当研究所が算出予測したその練習場需要予測と来場者数は一致しているにも関わらず、新規来場者顧客登録数が急激に低下しています。ゴルフ練習場新規来場顧客数は最も確かなゴルフ産業需要将来動向指標です。